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９回攀ってもフリーでつなげられないルート

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　瑞牆十一面正面のベルジュエールはお気に入りの１本である。1983年に開拓された翌年、初めて行ったこのルートではテンションの嵐となり、まさに這々の体で終了点に立った記憶はいまだに新しい。その日から今日までに９回完登しているが（新人を連れた時あるいは大勢でワイワイ行った時等、シロクマのコルからの途中敗退もカウントすると、その倍近く通っている）、悲しいことに一度も全ピッチフリーで繋げられないでいる。

１ピッチ目は、初登者もエイドだったということから、自分としては左からであろうと右からであろうとアブミを使っていいことにさせていただいているので（？）、このピッチは除外して、ネックは２ピッチ目のすぐに始まるフェースから凹角、そして右のダイクへの立ち込みのところと、８ピッチ目の万歳フレークの２箇所にある。

　はじめの２〜３度目までは、それ以外のところでもテンションとなっていたが、それらはその後解決出来たにもかかわらず、この２、８ピッチ目はどちらかがクリアーできても片方でテンションがかかってしまい、いまだオールフリーで攀れていない。

　ちなみに、ランペ状の３ピッチ目も、あのＲＣＣボルトからのランナウトが結構怖く、嫌いなピッチなのだが、相棒の碓井はリードしていて怖くはないと言う。彼女にとってこの３ピッチ目と、続く４ピッチ目の木の根だか枝だかよくわからないところからいきなり始まるフィストからハンドサイズの直上クラックは、性に合っているらしく、ジャミングは知らないはずなのに、右に左に体を振りながらこのピッチも巧みにリードするから不思議だ。最近では、ここの２ピッチは専ら彼女の係となっている。

　大フレークは、気持ち的には退廃してしまった。と言うのも、このベルジュエール、以前はフレンズ１セットだけで攀っていた。この大フレークもいよいよレイバックに入るというところで赤（４番）を目の前あたりの奥へセットし、あとは一気にレイバックで攀りきっていた。グランドフォールが懸念されるほどのランナウト感があったが、今ではまさに扇子とも呼べるでかいキャメロットがある。レイバックに一旦入ってからカムのセットはしないのは以前と同じながら、4.5番のキャメならかなり上方に予めセット可能なため、ランナウト感は大幅に薄れた。実際には、ここのレイバックに入ってから２〜３手だけが丸み、厚みが大きいフレークのため、かかりが悪く感じられるが、そこを頑張れば、つかみのいいホールドとスタンスも良くなるため落ちることはないのだが、フレンズだけのときはプロテクションがはるか下の方だということで相当プレッシャーがかかるピッチだった。いずれにしろ、自分の中ではキャメの５番を持っていくことだけは戒めてはいるが、これって、目くそ鼻くその世界かもしれない。

　今秋、きっと１０度目のベルジュエールを計画するのだろうけれど、ひとつの区切りとして、２、８ピッチは今度こそ一気にクリアーしたい！

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（2002.06.20記）