翌、日曜も快晴だ。しかし昨日と打って変わって気温はかなり低い。ロートルの二人はいつまでも足先が痛い。中山乗越しを越え、赤岳鉱泉へ下りて行く。途中、中山尾根へ向かうトレース、石尊稜方面に向かうトレースもしっかり踏まれ、クライマーの多さが覗えた。

　赤岳鉱泉テン場の隅にクライミング用具以外をデポし、大同心沢へ入る。トレースはしっかりしているが、なぜかそれは下ってきているもの。あれーって感じで登って行くと、大同心稜へ上がって行く所で沢にはトレースがない・・。そんな馬鹿な・・。そこまで下りだったトレースは、ここで登りのものになる。きっと、昨日か今朝、ここまで来たアイスクライマーは、トレースがないから帰っていったものらしい。

　我々は、少し大同心稜へ向かっていけば、途中で沢に降りるトレースが現れるでしょうと、登って行くが、いつまでたっても右へ別れるトレースは現れてこない。あまり上がりすぎると沢へ戻れなくなる事もあるからと適当なところで沢に向かう。

　幸い、直ぐに沢へ下りることができた。また、先週のものだろうトレースがうっすらと残っており、ラッセルもそれほどのものではなく大滝の基部へ辿りつく。

　ここでロープを結び、大滝下部を右から上がって左へ向かい大滝左端にアンカーを工作するが、この時点で羽矢は手の感覚が失せ、加えて余りの氷の固さにビレーポイントの設置にすらもたつく始末。それでも、なんとか４人揃うが、この時点で僕はシオシオノパー。神谷君も手を冷やし、辛いという。「帰りたいんですけど・・」と僕が言うと、「そうしたいんですけど」と、だれかれともなく優しい言葉が返ってきて、あっさり敗退することに。不甲斐なくてすみません・・。

　すたこら逃げるように赤岳鉱泉に戻りつき、陽のあたる場所でツエルトを被ってティータイム。お腹一杯になるまで行動食を食べ、暖かいものを頂く。

　仕上げは鹿の湯に浸って、冷たかった手の指も解凍。これで楽しかった八ケ岳アイスクライミングは幕。

　本当によく笑い、よく食べ、楽しい想い出として心に残る山行となった。また、カルテットを組んで、攀ろうよ！