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永井食堂のもつ煮定食

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　年度末の忙しさの中、なんとか一日を確保。


　この週末は、４月上旬並みの暖かさという予報。そもそもこの冬は記録的な暖冬ということでゲレンデ的なアイスクライミングエリアはもう終焉状態のはずだし、ルンゼルートに入っていくには気温が高すぎる。だから安心安全な雪山へ出かけることにした。

　あれこれ案を挙げ連ね、二人食指が動いたのが土樽駅前に聳える「足拍子岳」。日帰り登山には御手ごろだ。

　金曜夜、下道を走る。国道17号線は沼田を過ぎ、日付が変わる前に湯宿温泉町にある「たくみの里」の駐車場にて幕。翌朝、三国トンネルをくぐって湯沢から土樽へ。


"この時期にしては驚くほど雪が少ない足拍子岳（下山してきて撮影。いつのまにか雲が増え、高曇りの空模様になった。）"


　土樽駅に上がっていくと、山岳会団体さんが日白山、武能岳へ向けて準備中。我々もここでラーメンを食べながら準備する。


"他の登山者の準備の様子をラーメンを食べながら見守る碓井さん"


　さて、出発しましょう。

　ひとまず魚野川に掛かる橋を渡って、橋の袂に車を駐車。ここから歩き始める。魚野川右岸にある林道を下流側に向かって１００ｍ程進み、適当なところから右の杉林に上がっていく。尾根とはいっても裾は広く、しばらくはどこでも登っていける。それでも高度を上げていくと尾根形状がはっきりしてくる。

　杉林の中では、日差しが届かず、雪面はまだ締っているから歩きやすい。しかし、杉林が終わりブナに変わると日差しが雪面を照らすこととなり、潜るようになる。だけどこの時点では、まだスネ程度だからぐんぐん高度を上げていく。


"適当なところから裾の広い尾根に上がこむ。最初は傾斜は緩やかで楽ちんだ"


　荒沢山と同高度になるあたりから稜線は傾斜を落とし、クロガネノ頭から続く主稜線に上がりこみ、そこから左に折れ、足拍子岳に向かうようになる。

　大源太、巻機方面の展望が広がり素晴らしい。


"主尾根に上がると傾斜は緩む。山頂は近いけど、見えているのは山頂ではない（足拍子はあのとんがりピークの後に控えている）。"


　途中、ちょっとした岩場が１箇所出てくる。両側とも切れ落ちているから、少し緊張。


"稜線は所々で巻機側に雪庇を張出し、少し気をつけることが必要。潜るけど、気持ちいい稜線歩きだ。ここは稜線上、唯一怖い岩場だ。"


　そこも無事通過し、一気に傾斜をました雪稜を登って山頂。


"山頂だ！雪庇が張り出した山頂は、標識もなく、狭い。"


　雪庇が張り出した山頂は、標識もなく、狭い。気温はますます上がっているみたいだし、お茶は安全圏まで下りたところですることにして、そそくさと下山にかかる。

　一旦、もと着た方へ進んで、一つ目のピークに上がる手前から雪面を一気に下って程なく尾根形状を呈してきたものに乗っかって、ぐんぐん高度を下げていくが、潜って歩きづらい。


"ラクチンなはずな下りも、すっかり腐った雪に足を取られ、難儀だ・・・ "


　途中左へ右へと小さな谷を横切ながら、下りやすい尾根を探しながら下っていくが、尾根の傾斜がきつくなって、ついには谷に下りる。

　デブリが溜まった谷筋は硬く、だから尾根上よりも歩きやすい。落ちるものは落ちた感があるが、今年は、もともと積雪量はすくない。デブリを越えていくと二俣になり、なんと小川が出現。ここは雪崩の心配もなく、だから大休止とする。

　三月の第１週だというのにこの雪の少なさは一体・・。日差しは初夏のようだ。

　今日のお茶うけは、同人ルーデンスの池野女史が送ってくださったバレンタインチョコ。OGGIの「ショコラトランシュ」はコニャックの香りが強く利いたチョコ。谷から汲んだ清水で入れた濃いめのコーヒーにぴったり。ここまで、何も口に入れずにきたから、チョコもコーヒーもお腹に沁み込むようだ。

　山に居る幸福感が一層強く感じられる。


"同人ルーデンスの池野女史からのバレンタインプレゼント。清水を汲んで入れた濃い目のコーヒーで頂く。ほっとする・・"


　長くゆっくり休憩時間をとって、残りの下降を開始する。

　暫く谷筋を下っては見たが不安定に乗った残雪が煩わしく、右岸側の尾根筋に再度上がっていき、しばらく、それを辿るが、再び谷筋に下ろされ、谷を暫く下っていくが、今度は左の尾根に上がることに。雪は腐りきり、膝上まで潜る。高速道路の喧騒はすぐそこだが、なかなか近づかない。思いの他、疲れる下山となった。

　それでもなんとか林道に下りつき、ほっとする。


　ところで、下山の最中、下りてから何を食べようかという会話になった。僕は、山頂に立ったときから永井食堂のもつ煮を食べたいと思っていたから、それを伝えると、碓井さんも直ぐにその案に大賛成だ。

　これまで、何度か行ったことのある永井食堂のモツ定は美味しい。子持村にあるこの永井食堂、１７号線を岩本駅を右に見て、さらにずんずん南下していくと右手にある。

　もつ煮定食の他にもメニューは確かあったようだけど、もつ煮以外のものを食べている客を見かけたことがない。

　この店はどちらかというと店内での食事の提供をメインに営業をしているというより、持ち帰りパックの販売をメインにしている感が強い。このもつ煮、地元の人々に人気らしく、定食を食べている間にも持ち帰りパックを買い求めていく客は後を絶たず、入れ替わり立ち代り客が訪れる。

　さて、定食だが、普通盛りと大盛りがある。普通盛りといってもご飯は大盛りで、だから店員のお姉さんは碓井さんを見て、必ずご飯は多いから少なめにしましょうかと問うてくる。したがって、大盛りはかなり多いのだが、今日は食い気が勝っている僕は大盛りを頼もうと決めていたんだ。
　だから、いつも車に辿り着いてから着替えをしながらも楽しむティータイムは割愛し、永井食堂に向けて直ぐに車を走らせた。

　雪の少ない苗場スキー場を横目にしながらも気持ちはもつ煮定食へ行っている。三国トンネルからの下りでは前を行くのろのろの車がもどかしい。前夜泊まった「たくみの里」入り口を右に見て、岩本駅を右に見ると目指す永井食堂は間もなくだ。

　左の道路脇に永井食堂（車の出入りあり）の小さな看板を目にすると、待ちに待った永井食堂が右手に現われる。広い駐車場へ車を入れて、直ぐに店に入ると、なんと、土曜の食堂は１４時までで、それ以降は持ち帰りだけというつれない店員の言葉が・・・。

　なんと・・、たしか以前にもこんなことがあったはず・・。すっかり記憶からこぼれていた。あれほど楽しみにしてきたのに・・

　碓井さんはと見ると、僕以上に落胆している、というか持ち帰りはしているのに食堂はやっていないという理不尽さに？すこしだけお怒りの様子。楽しみを取り上げられた子供の気持ちがそのまま顔に現われている。

　仕方ないですね。とりあえず子持ちの湯に向かい、どこかで何か食べることにしましょう。それにしても、残念・・今度は、山を早く切り上げて１４時に間に合わせることにしましょう。

"納得いかず？仁王立ちの碓井さん。空腹が怒りをさらに助長する・・"


＜行程＞　土樽駅前魚野川の橋の袂出発(9:25) − 山頂(12:05) − 車帰着(14:45)

＜山行日＞平成19年3月3日

　

（2007.03.05記）