人跡未踏のはずでは・・ 奥多摩日原川 大雲取谷支流 権衛谷、小雲取谷

 ネットで「ゴンエ谷」を引いても記録は、ない。人跡未踏か?と有り得るはずのない期待を抱き、この梅雨中の週末、権衛谷を計画。

 前夜、東日原バス停に幕。実は、帰路、バス停で荷物の整理をしていて気付いたのだが、テント設営禁止の看板が・・。これまで気付かず、夜遅くに到着し、静かに寝るわけだから構わないだろうと、4回ほど幕ってきていたが、まずい・・。擁壁上に設けられたバス回転場はまるでテラスのようで、テント入り口まえの開放感は最高。さらに、朝眺める山の景色も気持ち良く、お気に入りの幕場だったが、これから、この山域に出掛けて来たときは、また、いいところを探さなくては・・



 朝、大ダワ林道入り口までバイクでアプローチ。途中、富田新道入り口を過ぎて少し大ダワ林道入り口に寄ったあたりにバイクが1台。何処を遡行するつもりだろう・・

 大ダワ林道入り口手前で、若者4人パーティーを追い抜くが、何処へ行くのかを問うと大雲取谷とのこと。

 入り口で準備していると彼等は追いついてきた。そのまま、林道を進んでいくから、呼び止め、大雲取谷なら、ここからだと伝えると、リーダは、長沢谷下降し、大雲取谷へ入るから、このまま林道を詰めるという。手にしている2.5万地図は古く、うんと手前で林道が終わっているもので、現在地がここだと伝えるのに、いいんです、の一点張り。じゃあ、という事で別れる。後で考えたのだが、彼等は、古い地図を鵜呑みにし、林道終点から下りたところが長沢谷と大雲取谷の出合いから少しだけ長沢谷を上がったところと勘違いしていたのかも・・いずれにしても、大変な一日になりそうだ。

 さて、我々は大ダワ林道入り口から二軒小屋尾根にあがり、この尾根を下って行く。2.5万図では二軒小屋をずんずん下っていくと一旦コルへ下りつく。そこから忠実に尾根を辿ると標高を30〜40m登る小山地形に変わるが、これへは辿らず、コルから右へ大雲取谷へ下り、僅かに沢を下降するとゴンエ谷に出合うことになっている。だから、ずんずん下っていくと、小山に登りかえすことなく、なんと長沢谷と大雲取谷の出合いに下りついてしまった(木立ちの緑に視界は遮られ、確認できずに下り着いてしまった。)。

 だから仕方なく、大雲取谷を遡行していく。ゴンエ谷出合い迄、おもいのほか遠い。途中、大崩壊地で巨大なプールに行く手を阻まれ、少し面倒な巻きが入るが、他は問題もなく、滝を掛けて出合うゴンエ谷に辿りつく。



 出合いの滝は右から大きく巻いて入峪。直ぐに穏やかな渓相のエンゴ谷へ下りつく。

 さて、人跡未踏の谷を行くんだと、ワクワクしながら竿を出すが、人の通った後が見られ、少しがっかり。さらに、形成される落ち込みは小さく、ことごとく枯れ木が沈み、釣りにはならない。また、程なく小屋掛けを左岸に見つけ、太古の昔君を期待していたのに望むべくもないことを知らされる。


"穏やかな渓相のゴンエ谷下流域       突然、立派な小屋掛けが。最近まで人が入っていたような雰囲気が漂う。"



 ここから、延々とワサビ田跡が続く(今日、クライミングジムランナウトで「奥多摩の谷123選」を見ていて、オーソドックスな初心者用の沢として紹介されている事を知ったが、遡行図ではワサビ田はそれほど奥まで続かない形で記されている。しかし、実際はかなり奥深く、左へ顕著な支流を分けてなお先、水量が少なくなるまで続いている。)。途中、ワサビ田の石積み上でティータイム。天気も良く、ほっとするが、ブヨとさらに小型の虫が多くまとわりつき、少しだけ不快。虫除けスプレーのお世話になる。

 ワサビ田跡にあっては落ち込みも少ない。
 適当なところで切り上げ下降に移る。小屋掛けからは左岸を辿ると、予想通り左の尾根上に自然導かれ、さらにここから左へ辿って、大雲取谷へ再入渓する。

 先行者が入っていることが足跡からわかる。バイクの主であろう。時々、いいポイントにだけ竿を出す。うるさい枝木もなく、安心して仕掛けを流せる幸せを感じる。

 途中から左岸上部に大ダワ林道を見るようになり安心。小雲取谷までも意外に遠いが、それでも見覚えのある出合いに到着。

 小雲取谷は最近来ているから安心。先行者が入っていただろう足跡が認められるが、一つ目の滝から上、それもなくなり心落ち着く。ここに来てようやくほっとする。

 前回来た時は雨が降りだし、途中から下降したが、そこから先暫くで沢は開け、穏やかさを呈するようになる。

 さて、いい時間だし、下降する事にしましょう。

 

"下降に移って、辿ってきた峪を見下ろす。桂やミズナラの木の緑に、心洗われる思いが・・。"


 小雲取谷出合いに戻ると、大雲取谷の上流側から焚き火の匂いと煙が流れてきていた。きっと、若者4人たちだろう・・。無事、大雲取谷に入峪できたよう・・。



大ダワ林道入り口発(06:40) ― 二軒小屋尾根を下り長沢谷と大雲取谷の出合い(07:30)― 権衛谷出合い(08:25)― 小雲取谷出合い(12:10)― 小雲取谷出合い戻り(16:00=16:10) ― 大ダワ林道入り口戻り(16:50)


<天候:曇り時々晴れ>
<同行:山女>
<釣行日:2006.07.01(8、6、15)、記載:2006.07.02>